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小林よしのり
2018.11.22 08:48日々の出来事

犬権、牛権はないが、鯨権はあるらしいぜ

人権が国家以前に自然権として(そもそも自然権って何じゃ?)
存在すると、本気で信じている者がいるとは思わなかった。

偽善も欺瞞も排した子供の目線から見れば、じゃなんで犬権や
猫権はないの?と言い出すだろうし、牛も豚も鶏も人間に食わ
れるために生まれてきたの?牛権、豚権、鶏権はないの?と
聞くだろう。

鯨権はあるから、日本の漁民の人権を無視して、捕鯨を禁じる
ことにしたの?という疑問も出るかもしれない。

全生物の中で人間だけが権利を持っているのはなぜなの?と
聞くのが「王様は裸だ!」の精神だし、イデオロギーに縛られ
ない子供の目線だろう。

自然権と聞いて、疑問に思わないのがまたおかしい。
自然は人間をそんなに尊重しているか?
地震や津波や台風が人間を大量殺戮するこの日本に住んでいたら、
自然が人間の都合なんか一切考えてくれないことは分かるだろう。

人権なんかそういうことにしておこうというフィクションだと
気付かなければおかしい。
憲法も立憲主義も近代国家も民主主義も、本来西洋の産物だ。
それを日本も取り入れることにしたのだが、いまだに民主主義も
立憲主義も根付かない。

国家以前に人権があるのなら、なぜ中国にも北朝鮮にも中東にも
人権がないままなのだ?
日本だって人権が100%守られている国か?
国家以前は人権が守られる世界があったのか?
あるわけないよ。
国家以前はもっと人権は無視されていたはずだ。

中国を人権無視だと批判するのは、人権イデオロギーが通用
する国際社会においては、やや有効だろうが、どうせ中国に
とっては痛くも痒くもないさ。
現実には、中国で100%の人権を認めたら、共産党一党独裁
の体制そのものが崩壊してしまう。
そうなったときの中国は、カオスになるから、そこら中で
殺し合いが始まって、人権どころではない。

秩序のない世界で人権なんか消滅するのは、イラクやシリアを
見れば分かるだろう。
人権については本一冊描けるくらいの知識はあるから、
説明するのはめんどくさい。
わしの『民主主義という病い』と『堕落論』を読めば、
ほぼ分かると思うのだが、みんな読解力がないから、
読んでも分からないのだろう。
『ゴーマニズム宣言 2nd Season』の連載を通して、
ゆっくりゆっくり分からせていくしかない。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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